循環型社会形成に向けた建設機械産業の対応調査報告書をとりまとめました。

当該報告書は日本自転車振興会から、「自転車等機械工業振興事業」の保持を受けた当工業会が実施した「平成13年度循環型社会形成に向けた建設機械産業の対応調査補助事業」の成果をとりまとめたものです。その概要を紹介します。


 

  1. 目的及び実施内容
    1. 事業の目的

      建設機械産業では、エネルギー消費の抑制、かつ環境負荷の低減促進を図るには、付属品・機械部品等の再利用促進は有効であることから、省資源・長寿命化設計を始め、リサイクルし易い素材の開発、機械形状の設計等を推進すべく検討が進められている。

      こうした活動の促進を図るには環境負荷低減設計(リサイクル対応設計)等の標準化推進及びリサイクル体制の確立が不可欠であるが、建設機械の流通はメーカ販売の後は、リース業者、中古業者を主体とする流通が中心となっており、メーカ単独でのリサイクルは難しい状況にある。

      本調査研究事業、ディーラを初めとする流通事業者のリサイクル実態の調査やリサイクル推進先進国の調査を通じて「生産ー流通ー使用ー廃棄」といった建設機械のライフサイクル全般におけるリサイクル課題を抽出し、リサイクル技術の技術動向を分析することにより、メーカ、ディーラ、ユーザ、処理業者等の協力による建設機械部品のリサイクル体制の形成の推進に資する。

        

    2. 具体的な実施内容・成果

     建設機械のライフサイクルのついては新車又は中古車として販売されるフローはこれまでも研究されているが、使用済みとなった建設機械のフローについては研究されていないことから、使用済み建設機械のフローに関与すると思われる事業者を対象に実態調査から開始した。まず、建設機械は他の機械(例えば自動車と比較しても)より格段に大きいため、リサイクルロートに乗せる前処理としての解体が不可欠であることから解体事業者を対象に使用済み建設機械の処理・リサイクルの実態をアンケート調査した。

    この調査から、解体されている建設機械の内、油圧ショベル・ミニショベル・ブルドーザの3機種で約81%を占めていることが分かった。これは、国内の稼働台数の割合とほぼ同値だった。しかし、部品取りに関してはエンジンが20%と高いが、他は10%未満と低かった。この背景には、部品取りの難しさや再流通システムがないことが影響していると推測した。さらに部品点数で仕分けると自動車部品と同様に処理できる部品が圧倒的に大きいことが判明した一方で、処理困難な部品(カウンターウェイト・大型タイヤ・ゴムクローラ)が存在し、これらが建設機械全体のリサイクル率が上がらない原因となっていることが分かった。

    処理困難な部品の内、カウンターウェイトについてはその組成を調べかつ解体の仕方について実験を行い、製缶カウンターウェイトは再度カウンターウェイトにリサイクルできることを実証した。また、大型タイヤについてはタイヤディーラを対象にアンケート調査を実施し、大型オフロードタイヤのリサイクル課題を抽出した。近年、他の機械で普及が進みつつあるプラスチック部材については、まだ、建設機械への適用度は少ないが、将来における普及も想定されることから、プラスチック部材のリサイクル先進国である欧州の実態調査をおこなった。

    また、回収・リサイクルに関する先進業界である家電業界と自動車業界のリサイクル体制を調査した。その調査から得た自動車業界のリサイクル率の算出方法を参考に、解体処理業者を対象としたアンケート調査の結果抽出したデータと工業会の所有データを基に、リサイクル率の算出方法を策定した。また、同算出方法を使用して主要建設機械単位に現在の部品リユース率を算出した。

    以上の調査研究から、設機械全体のリサイクル率を向上させるためには、部品取りしやすい機械設計、構成素材の明示等という技術的な課題をとりまとめた。また、法規制によるメーカ・ディーラ・ユーザの責任の明確化とそれに応じた費用負担、リサイクル促進につながる法規制の整備等の社会システムの必要性を提言した。

  2. 予算される事業実施効果

 21世紀の循環型社会の構築に向け、「循環型社会形成促進法」が平成12年に公布され、家電や自動車等、多くの品目に使用済みとなったときの廃棄物発生抑制、再資源化等が求められ、実行されつつある。限りある地球の資源を考えるとき、使用済み製品の適切な処理は非常に重要な課題となってきた。

本調査研究成果により、メーカは建設機械のリサイクルの実態から今後の製品開発の指針を得た。ディーラは使用済み建設機械の回収における課題を把握することができる。これらにより、メーカ、ディーラがそれぞれの課題解決に取り組み、また、ユーザや処理業者をも含めた各自の責任を果たすことにより、建設機械のリサイクル率は今回算出したリサイクル可能率に近づくことになり、資源の有効利用に寄与することと期待される。

  1. 本事業により作成した印刷物

平成13年度循環型社会形成に向けた建設機械産業の対応調査研究補助事業報告書