2021年 一般社団法人 日本建設機械工業会 会長 年頭所感

新春を迎え謹んでお慶びを申し上げます。会員各社ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本建設機械工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

昨年は年明けから世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大し、多くの方が亡くなられました。ここに亡くなられた方々に謹んでお悔みを申し上げるとともに、感染された皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症が収束せず、足元の世界経済は低迷し大変厳しい状況にあります。昨年8月に当工業会から2020年度、2021年度の建設機械需要予測を発表致しました。2020年度全体の通期需要予測では前年度比15%減少という、リーマンショック後では最大の減少幅になると予測されています。しかし、国内の需要予測では下期から徐々に回復し、通期では前年比5%減少と見込まれました。実際に月次金額ベースの出荷統計では、国内市場は10月から6か月振りに増加に転じています。前年同月が消費税増税で落ち込み幅が大きかったとは言え、回復傾向にあると言えます。一方海外の需要予測は、今年度回復に至らず通期では前年比22%減少と見込まれました。この結果輸出比率は2007年度以降では、最低の54%に留まると想定されています。2021年度は、国内市場が前年比1%の減少予測、海外市場が上期から増加傾向と想定され、通期では前年比10%増加、全体では前年度比5%増加と予測し、輸出比率も57%まで回復の見通しです。

このように、2020年度は大変厳しい市況と見込まれますが、一部の市場では回復の兆しも見え、2021年度には機種による違いはあるものの、全体的には明るさが戻ると想定されます。新型コロナウイルス感染症の抑え込みと、経済活動の持続を求める動きはしばらく続くものと思われます。このような環境下、当工業会では、引き続き新型コロナウイルス感染防止対策を継続しながら、社会基盤の整備に資する建設機械本体や部品、サービスを安定して提供することで社会に貢献して参ります。さらに益々要請の強まる脱炭素社会の実現に向けて、製品面では環境負荷の低い建設機械や安全性の高い製品開発、施工プロセスでは労働力不足や熟練労働者の減少による生産性の維持をはかるための、IoT/ICTを活用した情報化施工の普及を進めて参ります。

このような時こそ、工業会の設立理念である「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」の基本に立ち返り、新しい工業会の活動内容を考え、変革して参りたいと思います。

最後になりますが、新型コロナウイルスの感染症が早期に収束し、安心して生活できる社会を回復すること、そして皆様にとって良い一年となりますように祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせて頂きます。


一般社団法人 日本建設機械工業会
会長 数見 保暢

住友建機株式会社 代表取締役社長