建設機械産業を知る

トップページ 建設機械産業を知る 建設機械紹介一覧

コンクリートバイブレータ

コンクリートバイブレータ

コンクリートバイブレータとは

コンクリートバイブレータとは、セメント、砂、粗骨材を調合し、攪拌時に水を混入した生コンクリートを型枠内に投入してコンクリートを形成する際、高周波振動によって余分な水分や空気を排出させる機械です。
これにより、コンクリート内の空隙をなくし、耐久性のあるコンクリート構造物をつくることができます。

コンクリートバイブレータの変遷

日本初のバイブレータを用いた打設は1934(昭和9)年頃、蒸気機関車から電気機関車への鉄道発展に伴い電力確保の必要に迫られた鉄道省[後の日本国有鉄道(現JR)]が建造した信濃川発電所(千手発電所1934~1938)まで遡ります。このバイブレータは富国通商[後の大倉商事㈱]によってフランスから輸入されました。当時のフランス製のバイブレータは圧縮空気により振動させるエア式でしたが、空気消費量や効率の悪さ、故障率の高さから国産化が求められ1935(昭和10)年に初の国産バイブレータが完成しました。
その後、1941(昭和16)年頃、電気式フレキシブルグラインダー技術を応用したフレキシブルバイブレータの製造販売が始まり、近年使われている高周波バイブレータの原型が普及したのは1971(昭和46)年頃で、在来製品に比べ高額であったため当初は一部の現場にしか採用されませんでしたが、軽量で作業性に優れることから昭和50年代の半ばあたりから打設工事の主流となり始めました。1985(昭和60)年頃、効率と作業性を重視したインバータ式高周波電源が登場し今のバイブレータの原型が確立しました。以降、インフラ整備が著しく進んだ高度成長期を経て、ダム、高速道路、橋梁、港湾工事、高層建築など、あらゆるコンクリート構造物にバイブレータが活躍しています。

ダム現場での使用風景
ダム現場での使用風景
建設現場での打設作業
建設現場での打設作業

コンクリートバイブレータの技術的特徴

高周波バイブレータは進化を続け、振動部とホースの間にパイプを設けたもの(鉄筋絡みを起こさないため)や、回転振動伝達ロスを減らし振動伝播効率を改善したフィン(ひれ)付、尖端部にゴムヘッドをつけて型枠との打撃騒音を低減したものも生まれました。また、打設状況の見える化技術として1996(平成8)年コンクリート充填検知システムが周辺機器として開発されています。2010(平成22)年には、回転方向を切り替えることで、振動力の方向をコントロールできるスパイラルバイブレータが登場しました。近年の社会問題であるコンクリート打設現場における労働人口の減少に対し、コンクリートバイブレータのON/OFFを自動で行う自動運転システムが2015(平成27)年に開発され、2019(平成31)年には、コードレス高周波バイブレータが登場し、電源ケーブルを引き回さずに作業ができることで作業員の機動性が飛躍的に高まり、打設品質と生産性が向上しました。

エクセンHBM50AXS
エクセンHBM50AXS
三笠産業FX-40G
三笠産業FX-40G

コンクリートバイブレータの将来展望

近年は、高強度コンクリートの需要拡大とともに、コンクリートバイブレータに依存せずにコンクリートの充填性を良くするため流動性を高める添加剤の開発が盛んに進められ用いられています。コンクリート構造物の耐久性などの最終評価が決まるには数十年を経なければならず、それが正しい技術的方向であるか不明ですが、バイブレータメーカーとしては、あくまで基本に忠実に継続して締固機械およびシステムの開発に全力を注いでいきます。すでにハード部分では完成形に近づいてはいるものの、コンクリートの技術革新や工法進化、近年の人手不足問題等、対応しなければならない課題は多くあります。また、ソフトの部分では、コンクリート製品のトレーサビリティの確保や作業環境の改善・安全性の確保等々対応すべき分野も多く、さらなる開発をはかる必要があります。

メーカー

エクセン、三笠産業