建設機械産業を知る

トップページ 建設機械産業を知る 建設機械紹介一覧

クローラクレーン

クローラクレーン

クローラクレーンとは

クローラクレーンは自走できる移動式クレーンの一種で、建設工事の荷役作業に使われます。
クローラ式の走行装置の上部に運転室、巻上装置、ブーム起伏装置、旋回装置などが架装されています。それらの動力はディーゼルエンジンで駆動される油圧ポンプから各作業装置の油圧モータに伝達されます。
下部走行装置は上部旋回体を支えるカーボディ、旋回ベアリング、クローラフレーム、シューなどで構成され、走行用動力として上部旋回体から油圧が供給されます。

クローラクレーンの変遷

石川島コーリング330スプローラ
石川島コーリング330スプローラ

クローラクレーンを含む移動式クレーンの母体は19世紀末に米国で開発された自走式パワーショベルです。そのパワーショベルのフロントアタッチメントとしてクレーンを装着したものから移動式クレーンの歴史は始まります。わが国の移動式クレーンは1950(昭和25)年以降、クローラの走行機構を利用したクローラクレーンと、高速走行性や機動性に優れたトラッククレーンに分かれて進化し、建設機械としての地位を確立。技術の発展に伴い、性能や機能も充実し、今や世界トップクラスの生産台数を誇っています。
クローラクレーンは進化の過程で油圧化を促進。これに伴う駆動力の向上で吊り上げ能力が増大し、機体の大型化も進みました。最近は、人手不足から現場での作業をミニマイズするため部材の大型化が進んでおり、よりクローラクレーンの大型化が進む傾向にあります。
また、人手不足から操作性の向上や安全対策だけでなく組立解体や居住性などオペレーターをはじめとする実際に機械に関わる方を意識した開発が重要度を増しています。

クローラクレーンの特徴

高速走行性や機動力では油圧クレーンに及ばない半面、不整地や軟弱地で移動できるのが特徴です。輸送上の対策として油圧シリンダを装備し、作業時にクローラ中心距離を広げられるロングワイドタイプが主流。クラムバケット、ドラグバケットや基礎工事用フロントアタッチメントを取り付けて使用されることもあります。このように、現場の実情に応じて用途拡大できるのも利点です。
また、作業安定性がよい点も特徴です。1970年代に入り、油圧モータでロープの巻取りや旋回、走行などを行う全油圧駆動機が世界に先駆けてわが国で相次いで開発されたことにより、操作性や作業性が飛躍的に改善されました。
加えて、法令で義務付けられた過負荷防止装置、ワイヤロープ過巻防止装置、ブーム起伏制限装置などのほか、機械の異常を自動監視するモニタリングシステムやレバーロックなどを採用し、安全性を向上させています。

住友重機械建機クレーンSCX3500-3 
住友重機械建機クレーンSCX3500-3 
DH658-135Hパイルドライバ
DH658-135Hパイルドライバ

クローラクレーンの用途

クローラクレーンは建設工事の一般荷役作業に使われる建機です。フロントアタッチメントを取り替えることで、現場の状況に応じたさまざまな作業ができるのが利点。近年は港湾荷役や基礎工事の掘削作業など用途の範囲が拡大しています。

クローラクレーンの技術

クローラクレーンの将来展望

加藤製作所 CCH700
加藤製作所 CCH700

クローラクレーンを含む移動式クレーンは成熟した機種ですが、社会基盤の整備や産業の発展、維持管理のためには依然として欠くことのできない機種でもあります。建機全般に対する環境、輸送、安全に対する規制が強まる中で、今後はグローバル市場に着目した大型化への対応やランニングコストの削減を意識した開発が求められています。
建設業界の人材不足が顕著になりつつあり、人手を機械で補えるような自動運転や経験が浅い人材でも安全に作業が行えるような補助機能のニーズは高まっています。5G導入と共に建設機械を取り巻く環境は大きく変化していくことが予想されます。この中で我が国のクローラークレーンは最新のニーズを反映しながら発展していきます。

メーカー

加藤製作所、コベルコ建機、住友重機械建機クレーン、日本車輌製造