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推進機械

推進機械

小口径管推進機械とは

推進工法は、人が管内に入って作業のできる内径800mm以上の大中口径管推進工法と、管推進工法内作業ができない800mm未満の小口径管推進工法、さらに取付管推進工法および改築推進工法の4種に大別されます。小口径管推進工法は推進方式や掘削排土方式および管の推進工程によっても工法を分類しています。掘削排土方式で分類する代表例を挙げるとオーガ方式・泥水方式・泥土圧方式・圧入方式があります。各々の方式を採用した小口径管推進機械を用いて発進・到達立坑間を、発進側にセットした先導管で地中を掘り進みます。先導管の後端部に鉄筋コンクリート管、鋼管、塩化ビニール管などをセットし、油圧ジャッキにより繰り返し圧入・掘進し到達させます。先導管先端部にビットを回転させる油圧駆動の機械部を置き、らせん状のブレードを回転させ後方(発進側)に搬送させるオーガ方式が主流です。先端部に泥水を送り流体搬送するのが泥水方式です。また掘削添加材を併用し、崩壊性が高く礫・玉石が混じった地山に適用させた泥土圧方式もあります。さまざまな地質で構成される日本の国土で生み出されたわが国特有の技術として誇れるものでしょう。ほかには圧入方式、ボーリング方式があります。

推進機械の変遷

わが国初の推進工法は1948(昭和23)年5月に行われた国鉄尼崎線軌道下のガス管埋設工事で採用されました。小口径管推進機を最初に商品化したのは小松製作所で、米国から導入したトンネルボーリングマシン技術の一部を活用したとされています。
推進工法は現在、70種類を超えるといわれるほど多岐にわたります。わが国の推進工法は機械メーカー、管材メーカー、施工業者の三位一体で進展してきました。従って、推進機械の変遷は工法開発の歴史と深くかかわっているといえます。
特に、アースオーガの掘削技術を応用したホリゾンガー工法や塩化ビニール管をそのまま推進して埋設するエンビライナー工法は、わが国固有の技術としてインフラの整備に貢献。建設機械メーカー各社は今日的な工法の利点を生かせるような技術革新に力を注いでいます。

推進機械の特徵

旧来の開削工法に代わって認知された推進工法の利点は、地表に大きな影響を及ぼすことなく埋設工事を進められることです。技術の進展に伴い推進管の種類が増えると、推進機械は上下水道だけでなく、ガス管、電力管、通信管へと用途を拡大し、併せて、適用できる土質範囲を広げました。推進機械は各種推進管の埋設ばかりでなく、トンネル構築時の坑口取付部補助工法、都市部における地下構造物構築時の上部構造物や地下埋設物に対する沈下対策工法としてのパイプルーフ工法、地滑り防止を狙いとする小口径管排水工法にも使われます。

推進機械が登場するまで

下水道管の敷設は主として地面を油圧ショベルなどで掘削する開削工法が一般的でした。やむを得ない場合には刃口推進と呼ばれる人力掘削(鋼管に人が入る)に頼っていました。

推進機械の技術

推進機械の将来展望

主として下水道管渠敷設工事に用いられ高精度を求められる小口径管推進工法では幅広い地質条件、口径断面と立坑の大きさなど、多様な施工条件に応えられる推進機械の選定が成否の鍵を握ります。工事の多くは都市部とその周辺で行われるため、振動・騒音・地盤崩壊対策や土壌・水質汚染など現場環境の保全に配慮した機能を備えた機械へと要求が高まるでしょう。都市部では現場周辺の住民の日常生活に支障をきたさないよう、道路使用期間の短縮や使用面積の縮小が課題となっています。今後、より小さくなる立坑の中での作業を想定した一層の小型化が求められます。
推進の長距離化もまた課題です。発進側と到達側の立坑間を推進する下水道工事では、長距離推進が可能になれば立坑の数を少なくすることができ、工事費の軽減を図ることができます。そのためには、長距離推進に必要な高精度な測量技術と施工技術の開発が求められています。
最近では、敷設から50年を過ぎた下水道管渠の老朽化が問題になっています。こうした管渠を破砕して、同じ場所に新しい管渠を再敷設する改築推進工法も推進機械を使用して行われており、今後の下水道管渠を維持していくためにも研究・開発が進められています。
2016(平成28)年には無電柱化法が施行され、国土交通大臣による無電柱化推進計画が策定・公表され、防災、安全、景観等の観点から無電中化が推進されています。しかし電線類の地中化作業は高コストのため、都市部にて限定的に進められているに留まっています。今後さらなる無電柱化の推進のために、ケーブル埋設手法の低コスト化や施工性の向上が求められています。
小口径管推進工法にて長距離推進を可能にすればコストの削減が図られ、無電柱化が推進されるでしょう。

メーカー

三和機材、東邦地下工機、日立建機

機種

  • 東邦地下工機TH-150F
  • 日立建機DL50B