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クローラテレスコ

クローラテレスコ

クローラテレスコとは

日本建設機械工業会で対象としているクローラテレスコは吊り上げ能力0.5t未満の小型クローラクレーンで伸縮ブームを持つ機械です。狭い場所や不整地、また地下工事などで活躍します。

クローラテレスコの変遷

クローラテレスコの原型は、油圧ショベルのアタッチメントです。1980年代、もともとトラックなどに装着していた伸縮ブームをショベルに取り付け、小回りの利く小型クレーンとして開発されたのが、クローラテレスコです。以後、ラチスブームのクローラクレーンとテレスコブームのホイールクレーンのよい部分を用途に応じて掛け合わせ、旋回機能やアームの伸縮、ブームの長さなどに改良を加え、現在に至っています。

クローラテレスコの特徴

クローラテレスコの特徴は、狭い場所、不整地、地下工事などで使用できることです。車体をコンパクトに格納して移動ができるので、ラチスブームのように分解組み立ての必要がなく、現場での作業の省力化、効率化を実現しています。後端半径の短縮化、運転席のはみ出し量の最小化といったコンパクト化の一方、クレーンとしての吊り能力のアップという相反する技術的な課題を克服していることが、クローラテレスコの需要拡大に貢献しています。
また、走行装置がクローラ式なので不整地、軟弱地でも走行が可能。吊り荷走行(荷を吊ったまま走行すること)は、原則禁止の通達が出ていますが、定格総荷重を落とすなどの条件付きで、吊り荷走行もできます。また、狭い工事現場での資材運搬の効率化にも寄与しています。その他、アウトリガが必要ないので移動してすぐ作業に入れる点、吊り上げ荷重1~5t未満については小型移動式クレーンの技能講習が必要ですが、使い勝手のよさが利点となっています。
現在では後方小旋回油圧ショベル+伸縮テレスコアームへの改良が進み、ブームの長さもモデルチェンジのたびに長くなっている点もクローラテレスコの技術革新のポイントとなっています。

コベルコ建機CK90UR-3
コベルコ建機CK90UR-3
前田製作所CC423S-1
前田製作所CC423S-1

クローラテレスコが登場するまで

従来、不整地、軟弱地などでは、油圧ショベルを使用したり、鉄板を敷いて設置地盤を確保してからトラッククレーン、ラフテレーンクレーン、トラック搭載型クレーンを使用していました。いずれも不安定な吊り作業となるため安全性にも課題がありました。
クローラテレスコによって、狭い場所や不整地での吊り作業、建築逆打ち工事での安全確保が可能となり、作業効率がアップしました。

クローラテレスコの技術

荷重検出、作業半径などから定格荷重を検出表示警報する安全装置開発技術、高張力鋼板を使い歪みの少ない箱型ブームをつくる製造技術がクローラテレスコの技術的なポイントです。また、製缶技術(曲げ加工、溶接加工、歪み取りのノウハウ)、電気制御、油圧制御なども生かされています。

クローラテレスコの将来展望

狭い現場での安全作業を確保するためには、クローラテレスコは欠かせない存在となりました。都心部の工事現場では多く使われるようになり、機械重量も10tクラスから、より広範囲な作業に安定性がある15tクラスへの要望が増えている状況です。また、車体寸法はより最小で、より作業能力の高い機械を求めている市場もあり、それに加え、安全面や機能面の向上が求められている声に、どれだけ対応できるかが必要になってくるでしょう。

メーカー

コベルコ建機、日本車輌製造、前田製作所