建設機械産業を知る
コンプレッサは、空気を圧縮して動力源とする機械です。圧縮した空気は、さまざまな建設工事で活躍しています。例えば、空圧ブレーカによる岩石やコンクリートの破壊、空圧ドリフタによる削孔、空圧ハンマによる杭打ち、各種エアシリンダの作動など、多岐にわたります。油圧と比較するとエネルギー密度は低いですが、入手しやすく、どこでも出力できる利便性があります。
コンプレッサには多くの種類がありますが、当工業会では、エンジン駆動・可搬式を対象としています。
黎明期には米国の技術が一部使用されることもあったようですが、現在、国内で普及しているコンプレッサは、ほぼ日本独自の技術で開発されたものです。
1955(昭和30)年、AIRMANが国産初のロータリコンプレッサを開発し、翌々年着工の小河内ダムに投入されました。同社はその後も1968(昭和43)年に海外技術に頼らないスクリュコンプレッサを開発しています。
駆動方式と設置条件でその特徴を説明すると、次のようになります。
モータ駆動
電力が確保できる場所でのみ使用されます。排出ガスが出ず、振動、騒音が少ない点が長所です。
エンジン駆動
燃料の補給があれば、どんなところでも使用できます。ただし排出ガスを排出し、振動・騒音が大きい点がデメリットです。
定置式
移動ができません。
可搬式
簡単に移動ができます。これらの駆動方式、設置条件の特徴を組み合わせると、以下のようになります。
エンジン駆動・可搬式コンプレッサ
工事現場など一時的かつさまざまな場所で使用できます。
モータ駆動・定置式コンプレッサ
隧道および都市部の工事の動力源の一つであるエアの供給など、常用的な使用に向いています。
レシプロ(往復式)コンプレッサからロータリ(回転)コンプレッサへ移行する際のベーンの耐久強度向上が、ターニングポイントの一つとして挙げられます。
シリンダ内をピストンが往復運動するレシプロコンプレッサは、小型のものを除いて振動・騒音が大きく効率も悪いため、ロータリコンプレッサに交代しつつあります。その際、ロータリ式の回転翼であるベーンの耐久性を向上させることで、レシプロ式の短所を補いました。
また、ロータリコンプレッサからスクリュコンプレッサへ移行する際の独自の歯形の開発も重要なポイントです。現在、中型以上では、ロータリ式の中でもスクリュ式が代表的になっています。スクリュ式は、ねじれた二つの歯形を噛み合わせてケーシングとスクリュの間の空気を圧縮し、吐出する構造です。これを連続的に行い、効率的な圧縮空気を吐出するための独自の歯形が開発されたことによって、振動・騒音を抑制しました。
環境対応
フレームの下部にオイルフェンスを搭載することで、万が一燃料やオイルなどが漏れた場合でも、外部への流出を防止する環境に配慮したコンプレッサが出てきており、都市土木を中心にニーズが高まっていくと考えられます。
さまざまな工法に対応して
高圧コンプレッサでは用途・工法に合わせた圧力と空気量に変更可能な可変圧力タイプが主流になってきています。
IoTへの対応
他の建設機械と同様にIoTに対応したエンジン駆動のコンプレッサは今後開発が進んでいくでしょう。
AIRMAN、コマツ、デンヨー