建設機械産業を知る
2000(平成12)年に施行された建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)では、一定規模以上の解体および新築工事について特定建設資材(コンクリート塊、アスファルト・土質改良機コンクリート塊、建設発生木材)の分別解体や再資源化などが義務付けられています。
日本建設機械工業会では、自走式リサイクル機械として自走式クラッシャ、自走式木材破砕機、自走式スクリーン、自走式土質改良機の4機種を対象としていますが、これらはいずれも社会から求められる再資源化の要望に応えたものです。
自走式クラッシャは、北欧からの技術導入によってもたらされたといわれています。北欧は地盤や山が岩盤であるため、道路をつくろうとした場合、道路予定地にある山を発破で破砕して、その際に発生した石を砕いて路盤材に使用していたことから、自走式クラッシャのニーズは高かったと考えられます。日本の解体現場で使われた移動式を最初に販売したのがオカダアイヨン(SC-6155)、自走できる破砕機を最初に開発・販売したのはコマツです。
その後、環境問題への意識の高まりの中で、現在のようにリサイクル機械として利用されるようになったのは、日本独自の技術、工法によるものです。
自走式クラッシャ
コンクリート塊や岩石などを破砕し、再利用するための機械です。搭載する破砕装置は用途別にジョークラッシャ、インパクトクラッシャ、コーンクラッシャなどがあります。クラッシャにより適切な粒径に破砕した後、コンクリート用再生骨材、路盤材、埋戻し材、裏込め材として再利用されます。
自走式木材破砕機
工事の際に取り除いた樹木や抜根材、剪定の際の幹や枝、廃木材などを破砕する機械です。破砕装置は高速回転式破砕機(ハンマ)が主で、スクリーンで粒度を調節した後、燃料用木材チップ、建材用ボード原料、堆肥用混合材などとして再利用します。
自走式スクリーン
スクリーンとはふるいのこと。材料をふるいにかけて粒を大きさごとに分別する機械です。自走式スクリーン単独で現場でふるい分けが行えるほか、破砕機や土質改良機と組み合わせて使用することも可能なため、多岐にわたった使い方ができる機械です。
自走式土質改良機
石灰やセメントなどの添加剤を加えて、土を所定の品質に改良するための機械です。自走式は原料土を現地で改良する場合に使用され、プラント建設ができない狭い場所や、堤防など長距離移動が必要な場合でも現地施工できる点が特徴です。改良された土は地盤改良や汚染土壌改良などに再使用します。
今後もリサイクルの意識がますます高まると予想され、環境に優しくICT等を活用した効率の良い機械が大いに活躍すると考えられます。
従来の用途に加え、自走式クラッシャについては、災害復旧・復興やリニア新幹線関連工事で、自走式木材破砕機については、バイオマス発電用チップ生産等への貢献が期待されております。自走式土質改良機については、平成28年度国土交通省土木工事積算基準改定により、安定処理工(自走式土質改良工)として新規制定され、さらなる普及が期待されております。また、他の建機同様、騒音・振動・粉塵の対策が重要になると共に、省エネ・ハイブリッド化・電気式等の技術もさらに進化するものと思われます。
宇部興産機械、オカダアイヨン、キャタピラー、コマツ、サンドビック、中山鉄工所、日工、日立建機、古河ロックドリル、マルマテクニカ、諸岡