建設機械産業を知る
スクレーパとは1台で掘削、積込み、運搬、捨土、敷きならしといった一連の土工作業を行う機械です。
スクレーパにはトラクタでけん引して作業する被けん引式スクレーパと、トラクタとスクレーパを一体化した自走式スクレーパに分類されます。また、スクレーパ系の機械として、プッシャがあります。
自走式スクレーパ(モータスクレーパ)
スクレーパ部分の構造は被けん引車の油圧操作型とほぼ同じで、前輪駆動のシングルエンジン式と、前後輪駆動のツイン(タンデム)エンジン式、ボウルの積込部分にエレベーティング装置が取り付けられているものに分類されます。モータスクレーパは、被けん引式に比べて走行速度が速く、比較的長距離の運搬に適しています。
被けん引式スクレーパ(キャリオールスクレーパ)
けん引トラクタに2ドラムウインチを装着し、そのワイヤロープによって作業させるケーブル式、スクレーパの油圧シリンダを作業させる油圧式に分類されます。油圧式はトラクタのウインチが不要、操作が容易なことから、現在では油圧式が主流です。履帯式トラクタでけん引するため、自走式に比べて軟弱地、不整地、勾配のある地形などでの使用に適しています。近年では超ワイド低圧タイプを装着し、軟弱地に強い機械も開発され、従来まで困難だった軟らかい土質などにも使用範囲が広がっています。
プッシャ
スクレーパの積込作業の際に使用する、後押し用のトラクタのことです。実際、スクレーパだけでは掘削積込能力が十分でない場合が多いため、クローラ式またはホイール式のトラクタで後押しする必要があります。
高い土地を削って低い所を埋める作業に適し、宅地、工場敷地、ゴルフ場、道路敷地など、土地造成に使用されます。
しかし、大規模土木工事が減少傾向にあること、また、輸送が困難であることから使用される機会は少なくなっています。
国内に在籍するモータースクレーパは電子制御エンジンを搭載、環境に配慮した低燃費、低公害、低騒音を実現したモデルです。
前後進、速度段のシフトが1本のレバーで操作できるオートマチックトランスミッションが採用されています。そのほか、軟弱地で一方の駆動輪が空転したとき、ディファレンシャルロックペダルを踏むことで、両輪が直結して他方の駆動輪にもトルクを与え、けん引力が増して脱出しやすくなるディファレンシャルコントロールを装備、また、バウンドなどによるショックを窒素アキュームレータが吸収し、振動を少なくするクッションヒッチなど、オペレータの疲労軽減、安全性にも配慮されています。
キャタピラー